このサトウキビは、どこに行くんだろう。

そう思ったことから、このコーラは始まりました。

— 伊良部島飲料 代表 宮國 政人

2020年2月。

サトウキビの収穫期の真っ只中、私は生まれ故郷である伊良部島へ戻ってきました。

家業であるサトウキビ運搬業を継ぐためです。

子どもの頃は当たり前だったサトウキビ畑。
山のように積まれたサトウキビを乗せたダンプ。

刈り取られたサトウキビを工場へ運び、原料糖になったサトウキビを港へ運ぶ。

そんな毎日の中で、ふと疑問が浮かびました。

「このサトウキビは、どこに行くんだろう?」

「内地に行って、白砂糖になる。」

それが、私の小さな疑問に対する大きな答えでした。

そうか、砂糖になるのか。

工場へ運ばれたサトウキビは原料糖という褐色の粒に姿を変え、船で出荷され、この粒からは「伊良部島」という名前が消えていく。

宮古島産なのか、沖縄県産なのか、はたまた加工された工場産なのか。

伊良部島の人が育て、収穫し、工場に運んだサトウキビは、誰かの口に届く頃には、もう別の誰かの名前になっているのです。私は、そのことがずっと心に引っかかっていました。

「伊良部島のサトウキビで、何か作れないだろうか。」

そんなことを考えていた頃、クラフトコーラという飲み物を知りました。「コーラって、作れるんだ。」その驚きがサトウキビと繋がったのは2年後。

サトウキビ運搬という家業を続けていくために、旧い友人を島に呼びました。

不思議なことに、私も彼も、あれほど好きだったお酒を飲まなくなっていました。

「じゃあ、コーラ作るか。」

「いいね、やろう。」

伊良部島のサトウキビを使ったコーラ作りは、その一言から始まりました。

「コーラってなんだろう。」

しかし、コーラ作りは思っていたよりずっと難航します。

試作を重ねるほど増していく、「伊良部島にあるものだけで作りたい」という思い。けれど、島にあるものだけではコーラらしさから離れてしまう。

かといって、コーラらしさを追いかければ伊良部島らしさが薄れていく。

「コーラってなんだろう。」

サトウキビを運びながら、そんなことばかり考えていました。そんな中、ふと思い立って「理想のコーラ」そのものと向き合うことにしました。

二つの答え。

これもまた不思議なもので、「理想のコーラ」を追い求めると、自然と「伊良部島オリジナルのコーラ」の輪郭もハッキリしてきました。

コーラらしさではなく、伊良部島らしさを大事にしよう。

そう振り切れたのは「これはコーラだ」と思えるものが、ようやく作れたからでした。私たちは一つではなく、二つの答えを作ることにしました。

伊良部島黒炭酸とイエローコーラ。

このサトウキビは、どこに行くんだろう。

そんな小さな好奇心は、二つのコーラになりました。

コーラを作る中で気付いたのは、面白いものは、意外と目の前にあるということです。

当たり前だと思っていたサトウキビも、少し見る角度を変えるだけで、新しい景色を見せてくれました。

きっと、それはサトウキビだけじゃない。

私たちのコーラが、今日を楽しめる小さなきっかけになれれば嬉しいです。